俺は足踏み

もう少し頑張りたい三十代の日記です

野球部で頑張った結果、夢も希望もない人間になった話

 高校時代、野球部に所属していた。入学当初は何部に入ろうか迷っていた。心身ともにたくましい男に憧れていた当時の私はその学校の中でも厳しいと言われる部活をいくつかリストに挙げていた。結局その中から小学生から続けていた野球部に入った。強豪校とはかけ離れた学校ではあったが、練習はそれなりにきつかった。

 根が意気地のない小心者の私であるが、まだその当時、厳しい練習を必死にこなしていれば屈強な男に成長できると信じていた。体ももちろんがっちりとした体格になりたかったのだが、なにより精神力を身につけたかった。自分が弱い人間であることをはっきり認識していた。おそらく将来に怯えていたと思う。来るべき未来に備えて、無敵の男になろうと思っていたのだろう。

 結論から言うと、強い男にはなれなかった。社会に怯え、他者を怖がる、弱弱しい男になってしまった。なった、というよりもともとそうだった。何も変えられなかった。その三年夏までの部活動を振り返ると、今になって思うことだが、真面目すぎたなと。気持ちを緩めることができなかった。みんなが手を抜いて練習している場面で、一人むきになって取り組んだり、みんな顧問の悪口を言っていたが、私は言わなかった。

 結局、力の抜き方を知らなかった私は、心がへとへとに疲れた状態で三年の夏の大会を迎えた。あんなに真面目に練習をしていた私だが、最後の大会では早く負けろと祈っていた。早くこんな部活から離れたい、その一心だった。

 過去を振り返ってみてどうもそれ以降、自分を追い込むということはしないようになった気がする。何かに挑戦はするけど、頓挫した時に落ち込まないように自分に負荷をかけ過ぎないようになったかもしれない。ブレーキを使うようになった、と表現したい。どうでもいいところでならいくらブレーキを踏んでもいいが、大事なところでブレーキをかけ過ぎて、失敗することもある。アクセルを踏み込めなくなった気もする。

 結局、大学へ進学して、なんやかんやあって社会に出たものの、高校時代の私が夢見ていた屈強な男にはなれなかった。夢も希望もない、ダメな大人になってしまった。子供の頃一番なりたくない大人になってしまった。